管理が放棄された空き家は自治体に相談
和歌山県の空き家率は20.3%(2018年総務省調べ)。全国ワースト2位で、放置空き家が地域に与える悪影響が問題視されています。今回の空き家シリーズは、近隣の空き家トラブルやその対処について、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・武田雅博さんが解説します。
景観や治安の悪化、害虫・害獣の発生など空き家が原因で生じるトラブルはさまざま。「身近な例でいえば、隣地の枝が自分の敷地内に伸びてくるケースでしょうか」と、武田さん。日当たりが悪くなったり、落ちた枝や葉の掃除が大変だったり、枝で外壁が傷ついたりすることも。「自分の敷地内に入っているから切ってしまいたい気持ちも分かります。しかし越境したとはいえ、枝は隣地所有者の財産と法で定められているため、お隣さんと交渉して切るのが原則です」と話します。
隣家の所有者が分からない場合は?「所有者を知るには、最寄りの法務局で『登記事項要約書』を閲覧して確認します。しかし、相続登記が行われていないなどが原因で『所有者不明土地』のケースも」。そうなると所有者を探したり、訴訟手続きをしたりなどの負担が生じます。
こうした問題に対応するため、民法の相隣関係規定が改正、今年4月から施行されました。「相隣関係とは隣接する土地の所有者同士が互いの土地を利用しやすいように調整し合う関係のこと。隣地所有者やその所在が分からずに交渉できず、土地の利活用に支障がある場合、隣地を使用できるようになりました」と話す武田さん。越境した竹木の枝の切り取り以外に、電気・ガス・水道などのライフラインの引き込み、境界調査、塀などの工作物の築造・収去・修繕も当てはまります。
管理が放棄され、周囲に迷惑をかける空き家は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」で「特定空家等」と定められ、自治体から指導や勧告、命令を受けることがあります。「近隣の空き家で家屋の倒壊など危険が予想される場合、住んでいる市町村の空き家対策窓口に相談を」と、武田さんは呼びかけます。
不動産に関する相談は宅建協会まで。 | 073(472)4600(祝日除く月~金曜の午後1時~4時半) |
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