増加する空き家に対する国の対応策
2023年度税制改正大綱に、空き家・空き地問題の解消へ向けた2つの特例措置の拡充が盛り込まれました。「空き家を処分するなら、改正内容を知って適切な譲渡を」と呼び掛けるのは、和歌山県宅地建物取引業協会の広報啓発委員長・武田雅博さん。「空き家の悩みQ&A」の3回目は、空き家・空き地対策に関する税制特例について解説してもらいました。
まず、「低未利用地の特別控除」について。「『低未利用地』とは、利用頻度が少ない土地や建物などを指し、空き家や空き地、空き店舗なども該当します」と武田さん。「低未利用地が都市計画区域内にあるなどの適用要件が満たされていれば、長期譲渡所得から100万円が特別に控除されます」
今回の改正により、同制度の適用期限が25年12月31日まで延長。「また、市街化区域などにある土地や物件を対象に、譲渡価格の上限が500万円から800万円に引き上げられました」とも。この控除を受けるには、市町村が交付する「低未利用土地等確認書」や、譲渡対価を証明する売買契約書などが必要です。
もう一つの税制特例、「空き家の発生を抑制するための特例措置」は、相続や遺贈によって取得した空き家、または建物を取り壊した敷地を譲渡する場合、譲渡所得から最高3千万円まで控除が受けられる制度です。「改正後は、適用期限が27年12月31日まで延長。また、24年1月以降に行う譲渡に関して、譲渡する年の翌年2月15日までに耐震改修や建物の取り壊しをすれば、特例が適用されるようになりました」と武田さんは話します。
それぞれの特例の適用を受けるには、要件が満たされているかを確認し、必要書類を集めて確定申告をする必要があります。「要件はかなり複雑で専門的な内容になるため、税理士や宅地建物取引士などの専門家に確認するといいでしょう」と武田さん。「空き家に関する相談は、宅建協会でも無料で応じています。気軽にお問い合わせを」と、話していました。
不動産に関する相談は宅建協会まで
お問い合わせ | 073(472)4600(祝日除く月~金曜の午後1時~4時半) |
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