ドキドキ ワクワク!
太地町に完成した国際鯨類施設ってどんなところ?
見つけよう! クジラの不思議
- 2024/7/18
- フロント特集
「クジラの学術研究都市構想」を進める太地町に、「国際鯨類施設」が完成。今年4月、鯨類の生態の調査・研究を行う「日本鯨類研究所(日鯨研)」(東京都)太地事務所が開所し、運用が始まっています。今号は、鯨研を中心に紹介。夏のお出かけや自由研究の参考にしてくださいね!
クジラ研究の成果を世界に発信
人が交流し、学び、楽しめる場に
紀伊半島南部に位置し、リアス式海岸が広がる自然豊かな港町・太地町。日本の古式捕鯨発祥の地として知られています。捕鯨の歴史を物語る史跡や資料が数多く残る同町は、「クジラ」を軸とした町づくりに取り組んでいます。
その一環として、国内外からクジラの研究者が集まり、調査・研究を行う学術都市構想を進めており、拠点となる「国際鯨類施設」を建設。東日本大震災で、宮城県石巻市鮎川の実験場を閉鎖した「日本鯨類研究所(日鯨研)」の支所を誘致し、今年4月、「太地事務所」として入居、開館しました。
施設は、敷地面積2万3854平方メートル、延べ床面積約1880平方メートルの鉄骨造2階建て。一般の人が利用できるクジラ専門の図書室、会議室、研修ホールの他、同事務所の研究室、標本管理室などがあります。
同事務所には、研究員8人(うち2人は乗船資源調査が主)と事務員3人が在駐。最新設備が整った研究室では、クジラの組織の一部から年齢や健康状態を調べたり、遺伝子情報を解析して系統分類を行ったり、鯨類を調査・管理するための研究が行われています。日鯨研は指定管理者として施設の運営にも携わっており、同事務所広報・池田礼未さん(写真)は、「クジラの研究成果を発信するとともに、子どもから大人まで、さまざまな人が交流し、学び、楽しめる場になれば」と話しています。
クジラの生態は明らかになっていないことがたくさん。まずは知ることから始めましょう。
皆はどのぐらい
クジラのことを知っているかな?
※もっと詳しい話は、出張授業で聞けるよ(詳しくはページ下部)
その1
クジラの仲間は約90種類
大きく分けてヒゲクジラ類(約15種)とハクジラ類(約75種)。体長4m以下のハクジラは「イルカ」と呼ばれます。地球上の生物で最大なのがシロナガスクジラで、体長が30mを超えることも。太地町立くじらの博物館では全身骨格を展示。クジラとの触れ合い体験も楽しめます。
その2
種類によってエサが異なる?
ヒゲクジラ類は、歯の代わりに「くじらひげ」といわれる、くしのようなひげが、上あごから200~400枚びっしり。ひげでこしながらオキアミなどの動物プランクトンや小魚を食べます。ハクジラ類は、同じ形をしたするどい歯を持ち、海中の魚やイカを歯で捕まえて食べます。
その3
一番泳ぐのが早いのは
最も早いのはハクジラ類のシャチで、時速約64㎞。速度規制標識のない一般道を走る車の制限速度が60㎞なので、かなりの速さ。一番遅いのが、セミクジラの時速約3㎞。人間がゆっくり歩くぐらいです。ちなみに、最大といわれるシロナガスクジラは時速約37㎞です。
その4
200歳まで生きたクジラもいるよ
ヒゲクジラ類は耳あか、ハクジラ類は歯を調べ、年齢を推定しますが、近年の研究で、目の水晶体で分かるようになってきました。クジラの寿命は種類で異なり、シロナガスクジラは120歳、イルカは35歳ぐらい。200歳まで生きたとされるホッキョククジラの報告もあります。
知れば知るほどおもしろいクジラ!
8月3日(土)
小学生対象|クジラ博士の出張授業を開催!
※参加無料
クジラについて知ろう
クジラ博士こと、研究者・安永さんが、プロジェクターを使いながら、クジラの生態について話をしてくれます。クジラに関する最新の研究情報や素朴な疑問なども、直接聞ける機会です。本物のクジラのひげや歯なども展示し、触れることも可能。夏の自由研究の題材にもおすすめです。
●クジラについて学ぼう
●歯や標本で大きさ・重さを実感
参加者募集
日時 | 8月3日(土) 午後1時~2時半(休憩含む) ※受け付けは午後0時40分から |
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場所 | リビングカルチャー倶楽部 フォルテ教室 (和歌山市本町、フォルテワジマ4階) |
参加費 | 無料 |
参加対象 | 小学生(3年生以下は保護者1人同伴) |
定員 | 50人 |
申し込み方法 | メールで件名に「クジラ博士の出張授業」と入力、本文に ①参加する小学生の名前と学年、年齢(複数の場合は全員分、同伴する保護者名も含む ②連絡先の電話番号を明記し、下記アドレスまで 【メールアドレス】living@waila.or.jp ※メールで申し込むのが難しい場合は、下記、和歌山リビング新聞社に7月26日(金)までに電話をください |
締め切り | 7月28日(日) ※応募者多数の場合は抽選。当選者には、参加の案内を7月29日(月)にメールで送信、電話連絡をする場合もあります |
問い合わせ | 073(428)0281 和歌山リビング新聞社(祝日除く月~金曜午前9時半~12時、午後1時~6時半) |
国際鯨類施設の館内を紹介
太地町の高台、自然に囲まれ、遠く梶取崎(かんどりざき)の灯台を望みます。長さ88mにもなるガラス張りの建物は、室内にいながら屋外にいるかのような開放的なデザイン。広々としたエントランスでは、クロミンククジラの頭部模型がお出迎え。壁や柱、机、いすなど、随所に紀州材のスギやヒノキが使われています。
館内は、日本鯨類研究所太地事務所の他、90人が入るホールや会議室、クジラに関連する本や資料などを約3万冊所蔵する図書室(予約制)があります。図書室には、電源やWi-Fiが完備。絵本や図鑑もそろっているので、家族皆で楽しめます。
施設名 | 日本鯨類研究所太地事務所(国際鯨類施設内) |
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予約・問い合わせ | 0735(29)2281 |
住所 | 太地町太地1770-1 |
営業時間 | 午前9時~午後5時(図書室は午前10時~12時、午後1時~4時の予約制) |
定休日 | 土・日曜、祝日 |
備考 | ※入館無料 |
夏の自由研究のポイント
研究者の安永さんに聞きました
1 自分が気になる「何?」を探そう
「一番長生きする動物は何?」 「テレビで見たクジラの種類は何?」など、テーマを絞り込むのがコツだよ
2 情報を集め、その背景を知ろう
現地調査の他、インターネットや図書館などを活用して。でもそれをそのまま写すのはNG。自分なりの意見や考えを書き出して
3 誰に向けて発表する研究かを考えて
「友達に説明する」など、対象を設定することで、より興味深い研究になるよ
4 「こうじゃなかった」の壁にぶち当たる
好奇心を持ち、進めることが大切。上手くいかない、を楽しみましょう
夏休みの思い出づくりに
食べる&体験 おすすめスポット!
ソウルフードのクジラ料理
国道42号から町への玄関口となる“道の駅”。クジラ肉のフライにショウガしょう油とタルタルソースを合わせた「鯨カツバーガー」、子どもに人気の「鯨カツカレー」など、クジラを使ったメニューがたくさん。直売所ではクジラ肉やマグロの刺し身、干物の他、農産物が販売されています。
施設名 | 道の駅たいじ |
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電話番号 | 0735(29)7690 |
住所 | 太地町森浦143-1 |
営業時間 | フードコートは喫茶が午前7時~午後4時半、 食事が午前11時~OS午後1時半(土・日曜、祝日はOS午後2時半)、 直売所は午前9時~午後5時 |
定休日 | 不定休 |
HP | http://michiekitaiji.com/ |
民芸品の絵付け体験
クラフトマンの店主・小出勝彦さんが、50年前に生み出したクジラをモチーフにした民芸品。土鈴(どれい)や貯金箱、オカリナなどを製造・卸販売する他、工房では絵付け体験も行っています。好みの色を使い、自由に絵を描いて楽しみましょう!
●体験
【料金】1200円~2500円
【定員】1日4組(16人)
※事前予約が必要、駐車場あり(3台)
施設名 | 抱壺庵(ほうこあん) |
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電話番号 | 0735(59)2879 |
住所 | 太地町太地2173-1 |
営業時間 | 午前9時~午後5時 |
定休日 | 不定休 |