テレビの“親切放送化現象”で
起きてしまった災いとは!?
いつ、どこから、誰が見ても分かりやすいように作られている近年のテレビ番組。しゃべりをフォローするテロップや、画面右上に出ているテーマの文字などがそれである。他にも、dボタンを押せば、スポーツの途中経過やドラマのあらすじなどが分かったりも。少しでも視聴率を獲得しようと始めたのだろうが、この“親切化”のせいで、逆に数字が落ちることもある。昨年のNHK紅白歌合戦だ。引退する安室奈美恵や桑田佳祐など、目玉アーティストが出演し、内容はおおむね好評だった。ところが、視聴率は歴代ワースト3の39・4%。ネットに視聴者が流れた、などといわれているが、単に紅白の“ひっぱり”がなかっただけである。生放送中、dボタンを押せば、安室奈美恵、桑田佳祐、他の出場歌手のタイムスケジュールが、事細かく記されていた。これでは裏番組にチャンネルが流れる。つまり「いつ登場するの?」というドキドキ感で、引き付けていないのだ。今年の紅白は、曲名や曲順もあまり知らせない不親切放送にすれば、より見てくれるかも。親切心からの提言だ。
※次回は2月10日号に掲載
文:岡内義人
読売テレビ「す・またん」「かんさい情報ネットten.」「土曜はダメよ」、ABCラジオ「桑原征平 粋も甘いも」などの番組構成を担当中
関連キーワード