自然エネルギーを最大限に利用
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、人にも環境にもやさしい省エネ・ゼロエネ住宅施策が進められる中、これからの家づくりに求められるのは、持続可能な“サスティナブル住宅”。今回は、パッシブデザインについて、「DesiE(デザイエ)」(和歌山市東蔵前町・キーノ和歌山店2階)の支店長・松下仁志さんに聞きました。
パッシブデザインは、これまでこのシリーズで取り上げてきた長期優良住宅や低炭素住宅のように、国が認定して補助金を交付している省エネ住宅とは考え方が少し異なります。松下さんはその原理を、「エアコンなどの機械の力をできるだけ頼らず、自然エネルギーを利用して、快適に暮らせる空間にする設計手法」と説明します。
“夏涼しく・冬暖かく”はイマドキの住宅の基本で、断熱性・気密性に対するとらえ方は同じ。ただ、快適を機械で維持するのではなく、自然&建築で実現するのがパッシブデザインの特徴です。その土地の条件や方位から、どのようにすれば太陽の光・熱、風を最大限に生かせるかを割り出した上で、夏の厳しい日差しは遮ぎる一方で、冬の低い日差しを取り入れられるよう深めの軒や植栽で調整したり、風が循環するように間取りや窓が配置されたり…。また、一年を通して日中は照明設備に頼ることなく過ごせるよう、自然光を取り入れる「採光」と建物内に入った光を奥まで届かせる「導光」にも考慮して設計された住宅が、パッシブデザインといわれるもの。長期優良住宅、低炭素住宅みたいな明確な基準値もなければ、パッシブデザインに対しての直接的な補助金もありませんが、「パッシブデザインの住宅とそうでない家とで比較すると、パッシブデザインの方が快適に暮らせますし、年間の光熱費も明らかに違ってきます」と松下さん。
さらに、「当社では、長期優良住宅を標準仕様としていて、プラスアルファでパッシブデザインを提案しています。その方がより高い住宅性能が維持できるので。確かに建築費用はプラスになりますが、30年、40年と長く暮らしていく中で、十分に“ペイ”できます」と、松下んさんは話していました。
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