ゲームや動作を取り入れて
世代関係なく、脳を鍛える時代に
コワーキングやレクリエーションなど、選択肢が拡大
「脳」をキーワードに、トレーニング(脳トレ)するためのゲームや、脳科学に関する書籍などが続々と登場する昨今。ウオーキングなどで体を鍛えるように、世代関係なく、脳を鍛える時代がきています。
脳科学では、人は課題を解決し、成功や達成することで、脳内で喜びを生み出す物質・ドーパミンが放出され、この物質が自分で考え、行動を起こす意欲をつくり出すといわれています。
「できたっ」。元気な子どもたちの声が聞こえるのは、脳科学を生かした教育支援、認知症予防の研究、企業の人材戦略を手掛ける「アレック」(和歌山市塩屋)の学習塾の教室。
同社は2011年、足し算、引き算をしてマスを埋める数字パズル教材「セレンブレイン」を開発しました。パズルは段階的に難しくなるのが特徴で、和歌山市立湊小学校が全児童を対象に2年間導入し、学習意欲や集中力につながることが判明した他、県立医科大学との共同研究でもシニアの脳の活性化が確認。学校や医療現場で取り入れられています。
一方、全国的に場所や時間を気にせず、脳トレできるコワーキングスペースが拡大する傾向もあり、長洲有紀子副社長は「人工知能(AI)の勢いが増す中、AIとは異なる人間の持つ力が試される時代がきています。脳科学を使って今の自分の能力や心の状態などが分かれば、進むべき方向も見えてきます。その機会や場所が今後さらに必要になってきます」と話します。
そこで同社は昨年、大学や企業の人材育成などにも着目し、セレンブレインと、潜在能力を測る「HQ診断」、ポジティブ・ネガティブのどちらに傾いているかを測る「ココロ尺度」を組み合わせた教材「ニューロフィットネス」を開発。県内企業との実証研究も始まっています。長洲副社長は「人生100年時代。より充実した人生を歩むためのお手伝いができれば」と、未来を見据えています。
楽しさが、やる気アップに! 体験の機会と場の提供
団塊世代が75歳以上となる2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になると推計されています。レクリエーションで楽しみながら予防や進行を遅らせようとする動きも出ています。
「認知症予防ネット・わかやま」が普及を進めているのが、「認知症予防ゲーム」です。団体本部(京都市)が考案したもので、脳活性化ゲームに笑いの効用が組み込まれ、リビングカルチャー倶楽部(和歌山市本町)や「みんなの居場所・ほっこりさん」(同市美園町)などで教室が開かれています。
ゲームは、参加者全員で輪になり、指のグーパー体操から、腕、上半身、頭、全身を使った動きへと移行、意識も自分から隣人、全員へと展開していく内容で構成。一見すると、単純なゲームのように思えますが全てに意味があり、認定講師の藤島壽子さんは「記憶したり、リズム感をとったり、脳のいくつもの機能を同時に動かします。できてもできなくても、お互いに褒め、認めることが大切。いつも笑い声が起こります」と話します。
自宅でも気軽にできるようにと昨年末、藤島さんは脳トレのイメージソングCDを作成。「楽しければやる気が出て、続けられます。歩いて通えるような地域の教室をもっと増やしていきたいです。ポストのようにね」と、笑顔で話しています。
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