トルコとの友好関係をもっと親密に
本紙で「makimakiクッキング」を連載中のデコ巻き寿司(ずし)マイスター・かおり巻子さんが今年10月、トルコ・ボドルム市で開かれた式典の場で、1890年に串本町の大島沖で遭難したオスマン帝国(現・トルコ)の軍艦「エルトゥールル号」の船長の孫、グルムセル・ユゼルさん(87歳)と対面を果たしました。
かおりさんは和歌山市在住ですが、祖父が串本と大島を結ぶ巡航船の船頭で、村長も務めるなど、大島にルーツがあり、遭難事件で船員たちを救出した村民の玄孫に当たります。また、かおりさんは、エルトゥールル号の発掘調査をしているトルコの海洋考古学者・トゥファン・トゥランルさんと親交があり、今回、ユゼルさんとトゥランルさんが住むボドルム市で対面が実現。「来年は、エルトゥールル号の悲劇から130年、日本とトルコの国交樹立100周年の年。ユゼルさんが来日を望んでいるとトゥランルさんから聞き、祖母との対面を企画していたのですが、2人とも高齢で体調面のことも考えて、私がお会いしてきました」とかおりさん。
式典の場で、ユゼルさんは、「エルトゥールル号の沈没は悲しい話ですが、日本とトルコの友好の原点。それが映画にもなり、今もこうして交流が続いていることがうれしい」と述べ、一方、かおりさんは、「当時の大島は貧しい村で、たまたまお正月準備で食料も着物もあったから助けられたことなど、祖母が曽祖父母から聞いたという話を伝えました」と。
ボドルム市では3日間にわたって盛大な式典が行われ、副市長らが出席。その中で、かおりさんはお得意の「デコ巻き寿司」を披露。40人前の材料を用意して挑んだワークショップは大盛況に終わり、参加者の中には、1985年のイラン・イラク戦争時に日本人を救出したトルコ航空のキャビンアテンダントの姿も。当日の様子は、現地の複数のメディアで取り上げられ、かおりさんは、「とても光栄なこと。この関係をもっと深めていきたい」と言います。
来年5月には、ボドルム市で「和歌山フェスティバル」が開催される予定で、かおりさんやトゥランルさんらは、さらなる交流を目指し、奔走しています。
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