まぶたが下がり、“目をぱっちりと開けにくくなった”“いつも眠たそうに見られる”など、感じていませんか。その症状、「眼瞼下垂」かもしれません。和歌山県眼科医会顧問の黒田純一さんに聞きました。
まぶたを上げる腱膜が緩むことで発症
眼瞼下垂とは、上まぶたが下がったり、目が開けづらくなったりする症状のこと。先天性は、眼瞼挙筋(がんけんきょきん)といわれる、まぶたを上げる筋肉の働きが、生まれつき悪くて起こるのに対し、後天性は、主に歳を重ねるとともに眼瞼挙筋の端についている腱膜(けんまく)が緩むため起こります。
「歳を取るにつれ、目が開けにくくなり、“目が重い”“目が疲れる”といった眼精疲労症状を訴えて来られる人が増えています」と話すのは、和歌山県眼科医会顧問の黒田純一さん(眼科黒田クリニック院長・写真)。
「まぶたが下がると、上の視野が狭くなるためにあごを上げたり、おでこの筋肉を使って眉毛と一緒にまぶたを無理に上げようとしたりするので、筋肉の緊張が続き、頭痛や肩こりの原因にもなります。眼瞼下垂は他にも、ハードコンタクトレンズの長期間使用や、白内障手術の後でも起こることがあります。神経の病気に伴って発症する場合もあります」と説明します。
セルフチェックは、正面を見た状態で、上のまぶたが下がり、黒目の一部または大部分が覆われていたり、指で眉毛を上げないと目が開けられなかったりしたら、眼瞼下垂の疑いが。一見、眼瞼下垂のようでも、加齢でまぶたの皮膚がたるみ、目にかぶさる眼瞼皮膚弛緩(しかん)症の場合もあります。
治療は手術で、眼瞼下垂は緩んだ腱膜を切除して縫い縮め、まぶたを上げ、眼瞼皮膚弛緩はたるんだ皮膚を切除します。黒田さんは、「自然な仕上がりになるように神経を使います」と、医師の経験の重要性を話します。
眼瞼下垂以外に、加齢で下まぶたを支える腱膜の力が弱くなり、内側を向いてしまう老人性内反症や、まつげが眼球側に向かって生える睫毛(しょうもう)乱生症などで受診する人が多いとも。 “歳だから”とためらわず、“もしかして”と思ったら治療を行っている眼科を受診し、医師に相談してみましょう。
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