鉄道ファンでなくとも乗ってみたくなるローカル線。輸送だけではなく、趣向を凝らした列車は地域の魅力を伝える一役も。新車両が誕生し、ますます目が離せません。
いつまでも残したい路線とその風景
一度といわず、何度でも乗って!
普段の移動には何を使いますか。電車、バス、それとも…?いやいや和歌山は車での移動が多い地域。〝ほどんど自家用車で移動〞という人も少なくないのでは。
でも、時には時間を気にせず、ゆっくりと電車に乗ってお出掛けするのもいいもの。今回は沿線の住民の足となり、国内外の観光客に人気沸騰中の「ローカル線」の魅力に触れてみます。
紹介するのは、今年4月29日から南海電鉄加太線で運行している加太の特産品・鯛(たい)をデザインした「めでたいでんしゃ」と、6月4日にお目見え、日本のソウルフード・南高梅をモチーフにした「うめ星電車」。鯛と梅はどちらも縁起物。めでたづくしで幸せも一緒に運んでくれるかも。
もちろん、車両デザイン以外にも、昔のまま残された駅舎など沿線には見どころがいっぱい。ゆっくりとしたスピードで走り、山・川・田園など車窓からの眺めを満喫できるのもローカル線ならでは。鉄道自体が観光資源となり、地元の人たちと一緒に地域の魅力を掘り起こしています。
いつまでも残したい路線とその風景。
いつかではなく、今が乗りどきです。一度といわず、何度でも乗って、みんなでローカル線を盛り上げましょう!
〝梅〞と〝鯛〞縁起物で幸せ一緒に運行中
うめ星電車
貴志川線開業100年の節目に、第4番目となる列車が登場。野球でいえばエース格のスターです。車両は紅梅、車内は白梅をイメージした“ザ・和風”。同社・水戸岡鋭治顧問が「ななつ星in九州」に対して、和歌山では「うめ星」をテーマに改装。細部までこだわったデザインは見応えあり。乗れば「うめ~」話が舞い込むかも。
木張りの天井
ベイマツを使った木張りの天井。これから注目されるという天井デザインを先駆けて採用。車内に足を踏み入れたら、まずは天井を見上げて。満開の梅に気分も盛り上がります
すだれ
日中は、すだれを下ろして太陽の光をさえぎります。他にも、障子の日よけもあり、どのシートに座ろうか迷ってしまいそう
和歌山電鐵貴志川線
貴志駅のニタマ駅長
組子細工の窓枠
窓枠はヒノキ、組子はスギと県産木材を使用。組子からもれる光と影の世界が広がります。貸し切り時は、一部に畳が敷かれてお座敷列車に変身
ディスプレーと座席シート
ショーウィンドーには、紀州漆器、梅干し、しゅろなど県産品をはじめ、たま名誉永久駅長、ニタマ駅長グッズがディスプレー。お花畑のような座席シートは全11種、梅のデザイン画も展示されています
めでたいでんしゃ
“おめでたい”と“愛(め)でたい”のマリアージュ。南海電鉄加太線に、乗るだけでご利益がありそうな列車が誕生。車両はまさに海の幸“鯛”そのもの。レールの上だけでなく、車内でも鯛が泳いでいます。あちらこちらに隠されたハート模様を見つけ、心もす~いすいっと泳ぎ出しそう。
フロア
ドア付近では、かわいらしい魚がお出迎え。乗っているだけで楽しくなります
シート(座席)
鯛の模様が散りばめられた3パターンの座席シート。鯛のうろこにハートが潜みます。いくつ探し出せるか、目を凝らしてみてください
つり革
木でできた魚の形のつり革。手にフィットするのがうれしい。ハート形のつり革を見つけ、幸せをつかんで
ロールカーテン
魚を取る網をイメージした日よけのロールカーテン。窓ガラスに泳ぐ鯛を引き寄せて、本日も大漁なり
木彫りの縁起物(加太のむす雛・めで鯛)
ドア横には、一本釣りで名高い加太の特産品・鯛と、縁結びの神さま・淡嶋神社のひな人形の木彫りを展示。ハート部分を触ると、めでたいことが起こるかもしれません
取材協力:南海電鉄、和歌山電鐵
※運行時間などは、各社のホームページ上で掲載されいています
乗ってみたいな その他の列車
戦国BASARA(バサラ)
「天空」の一部車両を真田一族のキャラクターでラッピング。8月30日(火)まで
真田赤備え列車
真田幸村の赤備え甲冑(かっちゅう)をモチーフに、六文銭などをデザイン
たま電車
正面には耳とひげ、車両には101匹のたま名誉永久駅長が描かれています
いちご電車
白を基調にイチゴの赤が斬新な車両。春には車内でいちご狩りも
おもちゃ電車
白車内はプラモデルを飾ったり、ガチャガチャで遊べたり、まるでおもちゃ箱のよう
DESIGNED BY EIJI MITOOKA+DON DESIGN ASSOCIATES