いざっ!和歌山の祭りへ

心を豊かにする情報を伝える「Good Life~心に潤いと輝きを~」。秋の深まりとともに県内各地で行われる祭り。今号は隔月で連載中の「祭りびより」の拡大版です。行楽シーズン、歴史ある「ハレ(晴れ=非日常)」の日の空間を味わってみませんか。

先人の暮らしを感じて
自然の恵みに感謝する秋祭り

日本人は、春に種をまき、夏に育て、秋に収穫、そして冬は春に備えるといった農耕サイクルをもとに生活してきた民族。そのため、祭りには、五穀豊穣(ほうじょう)をはじめ、大漁満足、疫病退散など、生活の中での感謝の気持ちや祈りを表したものが多く、それぞれの土地の文化や風習によって形式も異なります。

威勢の良い掛け声やおはやしの音に胸が高なるのはもちろん、先人の暮らしを肌で感じ取れるのも魅力の一つです。

また、祭りには人と人とをつないだり、絆を深めたりする大切な役割も。子どもから年配までが一緒に過ごし、楽しむことは伝承していく上で欠かせません。

秋は実りの時期。田んぼや山、海、川といった自然の恵みに感謝する、一年の中で最も祭りの多い季節です。

山と海に囲まれた和歌山県は、農耕に加え、漁業に関する祭りも多く見られるのが特徴。歴史やそこで行われる祭りの意味を知ることで、見方や楽しみ方も変わってくるはず。

下記では、紀北、紀中、紀南の祭りをピックアップ。見どころやスケジュールなどを紹介します。

ますます祭りが好きになる!

三輪崎の鯨踊り

「ヨイハー」と力強い掛け声が海沿いの地域に響き渡ります。日本遺産「鯨とともに生きる」の構成文化財の一つ、新宮市三輪崎の「鯨踊り」。熊野灘で捕鯨が盛んだった今から約350年前、大漁を祝って踊ったのが始まりといわれています。

三輪崎では明治半ば以降、捕鯨は行われていませんが、伝統の踊りを残すため、大正初期から八幡神社(三輪崎)の例大祭で奉納。1973年には「三輪崎郷土芸能保存会」が発足し、現在、20代~80代の70人が活動しています。同会の濱口仁史会長は「地区の小・中学では、学校行事で子どもたちが踊るなど、うまく引き継がれています」と話します。

鯨踊りとは、古式捕鯨の様子を表現したもので、扇を網に見立て鯨を追い込む「殿中(でんちゅう)踊り」と、銛(もり)に見立てた綾(あや)棒で銛突きをする「綾踊り」があります。海を表す白地に黒(鯨)、緑(山)、赤(鯛)のしま模様の衣装で勇ましく踊る姿は圧巻。

例大祭は、三輪崎漁港付近にあった元宮に祭神が里帰りする日です。同神社をみこしや恵比寿・二十四孝(こう)・大黒天の3台の山車が、漁港(お旅所)までを渡御。途中、山車が激しくぶつかり合うのも見どころです。漁港では、獅子舞など地元の伝統芸能が繰り広げられ、最後に鯨踊りを披露。濱口会長は「祭りを通し、普段からの交流も深まります」と目を細めます。

11月には東京で開かれる「全国民俗芸能大会」に出場予定。機運が高まっています。

インフォメーション

開催日時 9月17日(日) 例大祭
【午前】
11時半 神事(八幡神社)、みこし渡御
【午後】
2時 お旅所神事(三輪崎漁協)
2時半 郷土芸能披露 鯨踊りは最終
4時半 お旅所を出発し、神社へ
住所 新宮市三輪崎1512
問い合わせ 八幡神社(三輪崎)
電話 0735(31)7093

グルメ

新宮の郷土料理。同店ではユズの香りの尾頭付き「さんま姿寿司(ずし)」(650円)が楽しめます。めはり寿司や昆布寿司もあり

問い合わせ 徐福寿司(駅前店)
住所 新宮市徐福2-1-9
電話 0735(23)1313
営業時間 午前10時~午後5時
定休日 木曜

須賀神社の秋祭り

日本一の梅の里、みなべ町。南北に南部川が流れ、春は梅の花とその甘い香り、夏は梅の天日干しが風物詩となっています。五穀豊穣を願って行われる須賀神社の秋祭りは、平安時代に京都の祇園御霊宮(八坂神社)を勧請する様子を再現したものと言われています。

御幣(ごへい)、神が宿る「神おかさ」と、白地の「ともおかさ」と呼ばれる傘ほこなどが行列をつくり、海岸近くの秋葉神社から須賀神社までを荘厳に練り歩きます。

お旅所(一の鳥居)に到着すると、氏子11地区ののぼり、獅子、みこし、神馬が加わり、住吉太鼓(おはやし)を鳴らしながら、二の鳥居をくぐって境内に。獅子舞などが奉納された後、各地区ののぼりを倒す「のぼり倒し」が行われ、神事を終えます。

祭りのハイライトは、県内でも数少ない駆け馬。同神社の前芝弘知宮司は「昔は運搬用の馬を飼っている人が多く、祭りは年1回、華やかな馬具を着けた馬を披露する機会でもありました。祭りに参加する馬は、当家(とうや)の家の前に作った馬屋で過ごすといった伝統が今も残っています」と説明します。駆け馬は、宵宮と本宮で行われ、6頭の馬がひづめの音を響かせながら疾走。境内の馬場を勢いよく駆け抜ける姿に見物客から歓声が上がります。

前芝宮司は「氏子や地元の学校など、多くの人の協力があってこその祭りです。歴史ある祭りに誇りを持ち、みんなで次の世代につないでいければ」と話し、未来を見据えています。

インフォメーション

開催日時 10月9日(祝) 秋祭り
【午前】
10時 神前式、浦安の舞(須賀神社)
【午後】
1時 お旅所(一の鳥居)より渡御
4時以降 流鏑馬(やぶさめ)、駆け馬
住所 みなべ町西本庄242
問い合わせ 須賀神社
電話 0739(74)2204

グルメ

地元産の果物と紀州みなべ南高梅ジャムを使った「スイーツピッツァ」(1200円)。他にも、パスタやドリア、スイーツなどたくさん

問い合わせ カフェ・ド・マンマ
住所 みなべ町埴田1590-40
電話 0739(72)2361
営業時間 午前10時~午後5時(土日曜、祝日午前9時~午後6時)
定休日 水曜

木ノ本の獅子舞

紀の川の右岸に位置する木本八幡宮。秋祭りには、500年以上続くと伝わる「木ノ本の獅子舞」が奉納されます。獅子舞は、二人立ちで演じる勇壮で活発な舞いが特徴。1966年には県の無形民俗文化財に指定され、地上5メートルの高さに組み渡された2本の青竹の上で演じる「だんじりの舞」で知られています。

だんじりの舞とは、獅子がわが子を谷底に突き落とし、はい上がってくる子を待つ姿を表現したもので、反り返ったり、青竹に足をかけてぶら下がったり、曲芸のような演技に見物客はハラハラと息をのみます。

この獅子舞やおはやしを伝承しているのが、木ノ本西地区の10歳~90代の氏子でつくる「木ノ本獅子舞保存会」。約30年前、同会の谷河績前会長が“祭りを絶やさないように”と、同地区で子どもの獅子舞やみこしを導入。「高校生になったら、だんじりの舞の練習を始めます。小さい子たちにとってはあこがれですよ」と話します。

本宮では、午後から「三道(さんどう)の辻」と呼ばれる地域の三差路で獅子舞を演じながら、みこしやだんじりとともに練り歩きます。夕方には神社の境内で、「龍(りゅう)の舞」など7演目からなる「地上の舞」と「だんじりの舞」を披露。笹山欣郁会長は「勢いのある獅子舞なので、演舞する二人の息がぴったりと合うことが重要。祭りにはみんなの格別な思いが詰まっています」と力を込めます。思いは脈々と若い世代へと受け継がれています。
 

インフォメーション

開催日時 10月15日(日) 秋祭り
【午前】
10時 神事(境内)で獅子舞奉納
【午後】
1時 獅子舞、みこし、山車の渡御
4時 獅子舞奉納
住所 和歌山市木ノ本1153(木本八幡宮)
問い合わせ 木ノ本獅子舞保存会
電話 073(455)1016

グルメ

3日間寝かせた酵素玄米と、だしを取らずに仕上げたみそ汁が人気の「一衣ランチ」(1200円)。手作りのデザートもどうぞ

問い合わせ 和カフェ 一衣
住所 和歌山市土入72-16NextP.1階-A
電話 073(481)4995
営業時間 午前11時~午後6時
定休日 日曜



ささらを持つ中踊り、太鼓、オニ、ワニ、獅子など14人で田楽を奉納。「しっぱら踊り」と呼ばれ、雨乞いとして踊られたと言われています。五穀豊穣の舞として、田んぼの植え付けから草取り、稲刈りまでの農作業を古雅な舞で表現しています。

また、天神社前では、横笛と太鼓とお多福に合わせ、東海道中五十三次を表しているとされる「乙田(おとだ)舞獅子」を奉納。獅子が高く伸び上がる姿が見どころです。

インフォメーション

開催日時 10月1日(日)
【正午】
神事(廣八幡神社)
【午後】
1時 田楽舞
2時 渡御
4時 神事(浜ノ宮)
住所 広川町上中野206
問い合わせ 廣八幡神社
電話 0737(62)2371


「人を見たけりゃ、御坊祭」と呼ばれる秋の例祭。御坊・日高地方の、たくさんの見物客でにぎわう祭りです。各地区の氏子が出す獅子屋台と、顔を白く塗り、隈(くま)取りをした子どもを乗せた四つ太鼓が力強く町内を練り歩きます。

また、けほん踊り、奴(やっこ)踊り、雀(すずめ)踊り、獅子舞なども奉納。けほん踊りは、踊り子たちが生花をあしらった笠(かさ)と華麗な衣装で、ユーモアたっぷりに踊ります。

インフォメーション

開催日時 10月5日(木)
【午前】
9時 みこし渡御、煙樹ヶ浜のお旅所へ
10時 祭典・芸能奉納
【午後】
3時 神賑行事(小竹八幡社)
住所 御坊市薗642
問い合わせ 小竹八幡神社
電話 0738(22)0089



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