県産の食材をふんだんに取り入れ、独自の味を探究
おいしい料理と心温まるおもてなしに、感動と余韻を覚えた経験はいつまでも心に残るもの。その裏には、伝統を守りながらも、新しいものを取り入れようと、探究し続けている職人がいます。
昨年度、「現代の名工」に選ばれる
15歳のとき、洋食屋のアルバイトで「こんなおいしい物が世の中に…。毎日食べたい」と思ったのをきっかけに料理人の道へ。以来55年、「いつまでも勉強。料理の世界にてっぺんはありません」と話すのは、数々の受賞歴を持つフランス料理界の重鎮、「JOY味村」(和歌山市片岡町)のオーナーシェフ・味村正弘さん(写真)。42歳で同店をオープンし、今年で28年。和歌山県産の食材をふんだんに取り入れたオリジナリティーあふれる料理が特徴で、“特別な日はこの店で”と訪れる人も少なくありません。「自然に恵まれた和歌山は食材の宝庫。それらを組み合わせ、いかに地元の人の味覚に合った料理を生み出すか。ソースにかんきつ類を使っているのも、その一つ。お客さまに喜んでもらいたいですからね」と笑顔を見せます。
料理への真摯(しんし)な姿と技術が評価され、味村さんは昨年度、卓越した技能者を表彰する厚生労働省の「現代の名工」に選ばれました。受賞から半年、「皆さんの期待を裏切らないよう、さらなる高みを目指さなければ」と表情を引き締めます。
一方、2019年からは和歌山県調理師会の会長を務め、小・中学生向けの料理教室「キッズ・シェフ体験」の講師として学校に出向くことも。味村さんは「将来、料理人を目指す子が出てくればうれしいな」と。料理を作る楽しさも伝え続けています。
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