わが家への思いが深まる人生儀礼
家を建てるときに行う「地鎮祭」。その特徴や内容、費用について、和歌山県神社庁(和歌山市和歌浦南)の事務局長・中谷承平さんに聞きました。
「地鎮祭は土地の神様から建物を造る許しを得る儀式です。神主を招き、施主やその家族、工事関係者など家づくりに関わる人が参列します」と中谷さんは説明。着工前の更地に祭壇を作り、四方を祓(はら)い清めます。
「特徴的なのが『地鎮の儀』です。施主や施工業者が鎌、鍬(くわ)、鋤(すき)を持ち、草を刈り、地を掘る所作を行って、神様に工事の開始を奉告します」。このとき、人形(ひとがた)や玉などの鎮め物を埋め、工事の安全と家の繁栄も祈念します。参列の服装は「極端な軽装や華美な服装でなければ、普段着でも大丈夫」と中谷さん。
地鎮祭の準備は基本的に施工業者が行います。和歌山市にある都麻津姫(つまつひめ)神社の宮司でもある中谷さんは、「ハウスメーカーからの依頼が多いですが、氏子となる施主さんの希望でお声掛けいただくことも」とも。施主が用意するものに、神主への謝礼である玉串料と、神様の供え物料があります。「個人住宅の場合、玉串料は3万円、供え物料は5000円から1万円が一般的ですが、執り行う神社で確認を」とのこと。
多くの人にとって家は一生に一回建てるもの。ということは地鎮祭も一生に一回の人生儀礼。家族だけで行う“セルフ地鎮祭”なるワードも近頃耳にしますが、「施主と施工業者が顔を合わせ、家づくりに携わる者同士で、共に心を込めて祈願することが大切」と中谷さんは話します。「静粛な気持ちで儀式に参加すれば、地域やわが家への愛着をより深めます」とも。
ちなみに、「すでに建っている建売住宅の場合は?」の問いには、「中古物件などと同様に、入居前に家の中に祭壇を作って家祓いを行います」と答えてくれました。
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