教えて尾花市長 和歌山市はどうなるの?

和歌山市はどうなるの?

尾花正啓和歌山市長が誕生して約2ヵ月。36万4294人のトップに一般市民が気になることをぶつけてみました。まちづくりのことや子育て環境のこと、市長のプライベートまで…。インタビュアーはリビング読者の3人の女性。たわいない質問にも真摯(しんし)に答えてくれました。

尾花市長はこんな人

Q. なぜ、市長に立候補を、市長になって良かったことは?

A. 立候補したのは、和歌山市を元気にしたかったからです。市長になって良かったことは、選挙期間を含め、多くの人と出会う機会が増え、いろいろな方からたくさんのことを教えてもらい、人生の幅が広がったことでしょうか

Q. ストレス解消法は?

A. 思ったことをズバッと言う性格なので、周りには迷惑をかけていると思いますが、言いたいことをいってストレスをためません。あと、スイミングが好きで、思いっきり泳いで発散していました。最近は時間がなくて行けていませんけど…

Q. 趣味は?

A. ウオーキングと本気の家庭菜園。今はあまり休めないのでどちらもできていませんが、ウオーキングは、愛犬と一緒に近所の山に登るのが楽しみです。家庭菜園は工機を使って、無農薬の有機野菜を30種類くらいつくっていました

Q. 家事は手伝いますか、夫婦円満の秘けつは?

A. カレーをつくるのが好きで、昔はよくつくっていたのですが、鍋を焦がしちゃったことがあって、妻からとめられています。双子の息子は喜んで食べてくれていたんですけどね。夫婦円満の秘けつ…、コミュニケーションでしょうか

地方都市が抱える少子化問題
子育て支援、教育の充実

―乳幼児を抱えるママにとっては、これからの子育て環境が気になります。

尾花市長 まず、少子化というのは、地方都市はどこでも大変頭を悩ませている大問題です。有識者らでつくる政策発信組織『日本創成会議』は、若年女性の流出により2040年には全国の約半分の市区町村が消滅する可能性があると発表しています。

―どうしてですか。

尾花市長 出生率の低下による〝自然減〞と、若い人が県外へ出ていってしまう〝社会減〞という2つの側面があります。

―確かに高校を卒業したら県外に出て行く人が多いですよね。

尾花市長 地元の産業を元気にして雇用を拡大すするのと同時に、若い人が住みたいなと思えるようなまちにしていかなければと思っています。それとやはり、子育て支援と教育の充実を図らないといけませんね。

―2人目、3人目を産みたいと思っても経済的に余裕がありません。

尾花市長 昔は父親1人の収入で家族を養えていました。しかし、それがだんだん難しくなってきて、今は夫婦共働きの家庭が増えています。子育てに関する経済的負担を小さくするために、入院費免除を小学校6年生から中学校3年生まで引き上げられないか検討しているところです。医療費についても支援していきたいと思っています。

市民が暮らしやすいまちに
これからの和歌山市はこうなります

おばなまさひろ

おばな・まさひろ
昭和28年4月25日生まれ、海草郡美里町(現・紀美野町)出身。東京大学工学部卒業後、昭和55年和歌山県庁職員に。県土整備部長などを経て平成25年11月に退職。今年8月、第15代和歌山市長に就任。61歳

―核家族化が進んでいる昨今、夫婦で働く場合、外に子どもを預けないといけません。受け入れ体制をもっと充実させてほしいです。

尾花市長 仕事と家庭を両立するためには、安心して預けられるシステムも大事です。NPOの協力なども得て、地域で支えていただく仕組みをしっかりさせたり、学童保育の拡充なんかも考えています。また、平成27年度から『子ども・子育て支援新制度』が全国的にスタートします。幼稚園の教育と保育園の保育機能が合わさった認定こども園は、和歌山市には現在、2園しかありませんが、来年度から移行する予定の施設も出てきています。

中心市街地の空洞化
人が暮らすまちなかに

おばなまさひろ

―ぶらくり丁は活気を失い、市の玄関口である駅周辺もさびれています。かつてのようなにぎわいは取り戻せないのでしょうか。

尾花市長 和歌山市は全国の中でも特に空洞化が激しい都市なんです。一番の原因は、まちなかに人が住まなくなったこと。郊外や近隣市町村に家を建てて出て行く人が多いですよね。

―人が暮らすまち。流出した人たちをどうやって呼び戻しますか。

尾花市長 まずは高層の都市型住宅をつくっていきたいと思っています。そして、住んだ人が便利に暮らせるように、例えば、子育てサポートの施設や福祉施設、病院など、まちなかに公的機関をどんどん集めていきたいなと。

―そうなると車がなくても生活できますね。高齢者も暮らしやすい。

尾花市長 しかし、それだけでは若い人は住んでくれません。やっぱりまちに魅力がないと。和歌山城を活用したり、周辺をもっと城下町っぽくしたりいろいろ方法はあると思いますが、アミューズメントがあふれるまちにしたいと考えています。〝まちなか居住〞については民間ものってきてくれていて、進みつつあります。あと、大学を誘致したいですね。

地域産業の活性化
魅力を発信して観光誘致

おばなまさひろ

―働く場所も必要ですよね。

尾花市長 和歌山市内には優良な企業がたくさんありますが、交通の便が良くないとか、さまざまな制約があって残念ながら県外へ出ていってしまった会社もあります。地域の産業をしっかりと守っていかないといけないなと思っています。

―具体的には。

尾花市長 企業から景気の良いときに拡張したいと申し出があれば協力していくし、市内でつくったものは市内で消費する地産地消の推進、農業の六次産業化にも力を入れていきます。それと、地方の生きる道として新たな産業を起こす、新規創業のお手伝いや企業誘致にも積極的に取り組んでいきます。

―地方都市はどこも企業誘致に躍起になっていますが。

尾花市長 関連企業が多く、和歌山市内で下請けを行っているような工場系と、場所を問わずオフィスがあれば全国どこでも仕事が可能なコールセンターのような人材系の誘致を考えています。

―自然豊かな和歌山市。産業という意味では観光にも力を入れてはいかがでしょう。

尾花市長 観光はすごく大きな産業だととらえています。経済効果があり、人が来ることによって交流が活発になって、いろいろな文化も伝わってきます。国内はもとよりこれからは外国人がターゲット。関西国際空港から最も近い県庁所在地は和歌山市。地の利を生かし、和歌山城や豊かな食材、海のリゾートなど、他の都市にはない魅力を発信して、海外からのお客さんをたくさん呼び込みたいですね。

インタビューを終えて

岩橋朋美さん
飯森世基子さん
多田久美子さん

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