形成外科とは、文字通り「形(かたち)を成す」診療科です。和歌山県立医科大学附属病院に「形成外科」を開設して5年半の月日がたちましたが、和歌山県ではいまだに美容外科・皮膚科や整形外科と混同される方が多く、形成外科が正しく認知されていません。
顔・からだの変形や機能障害は患者さんの心や生活に大きく影響を与えます。私たち形成外科医は、生まれつきやケガ・病気などで失ったものを修復し、人体の機能や見た目の障害を治療します。現在、0.5mm前後の超微小血管をつなぐ「スーパー・マイクロ・サージャリー」や、頭蓋骨や顔面骨の形成・修復を行う「クラニオ・フェーシャル・サージャリー」などの最先端の技術を駆使し、患者さんに笑顔が訪れるように努めております。
形成外科で取り扱う代表疾患を左記にまとめました。新年から4回にわたるシリーズで、当院で注力している診療(太字)について説明します。
(和歌山県立医科大学附属病院形成外科 教授・朝村真一)
【外傷】
顔のけが(顔面骨の骨折)
手足の外傷(切断指)
熱傷(やけど)
外傷・手術後の瘢痕(はんこん=キズあと)
【腫瘍】
体表のできもの
母はん(ほくろ・あざ・しみ)、血管腫(赤あざ)
ケロイド、肥厚性瘢痕(盛り上がったキズあと)
【先天異常】
顔面の変形(顔面裂、唇裂、口蓋裂、小耳症)
手足の変形(多指症・合指症)
へそヘルニア(でべそ)、顎変形症(がくへんけいしょう=受け口)
【その他】
腋臭症(えきしゅうしょう=わきが)、陥入爪(巻き爪)、眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)、睫毛内反症(しょうもうないはんしょう=逆まつげ)
がん治療後の再建(乳房、頭けい部)顔面神経まひ(顔の変形)
リンパ浮腫(むくみ)
褥瘡(じょくそう=床ずれ)、難治性潰瘍(足の潰瘍・えし)