ルールを守って 快適自転車ライフ
- 2015/5/28
- フロント特集
道路交通法の一部改正が6月1日から施行
危険行為を繰り返すと「自転車運転者講習」
子どもから大人まで手軽に乗れる自転車ですが、法律で決められたルールを意識して運転していますか。違反をすると罰則が科せられる行為もあります。また、6月1日には新制度がスタート。この機会に、自転車の乗り方を見直してみましょう。
自転車の危険行為14項目が対象
講習を受けなければ罰金も
改正道路交通法の一部が6月1日から施行されます。私たちにとって身近な乗り物である〝自転車〞に関して、新しい規定が設けられます。
自転車を運転するのに免許は必要ありませんが、自転車は道路交通法上では「軽車両」です。安全のため守らなければならないルールが定められています。今回の改正では、「自転車運転者講習」についての項目が新しく設けられました。
自転車の交通ルールは道路交通法により決められていますが、その中で〝危険をおよぼす行為〞をして3年のうちに2回以上検挙された場合、または事故を起こした運転者で、さらに交通の危険を生じさせるおそれがあると認められた場合は、「自転車運転者講習」の受講が義務付けられます。
自転車運転者講習は、違反者の特性に応じた個別指導を含めて3時間。講習手数料の負担が必要(標準額は5700円)。さらに、命令を受けて3カ月以内の指定された期間内に受講しないと、5万円以下の罰金が科せられます。
具体的にどんな違反が、受講対象となるのでしょうか。「信号無視」や「遮断踏切立ち入り」など14項目が定められています(右上参照)。ただ文字だけを見ても、ピンとこないものがあるのでは?下記で、これらの項目について解説します。
「ハッと」をなくして「ホッと」安全走行
交通事故“0”を目指して
自転車も車の一員としてマナーを向上
平成26年中に和歌山県内で起きた人身交通事故は4115件。死者は39人、負傷者は5217人でした。どの数も前年を下回り、件数は13年連続で減少しています。
「しかし、なかなか〝0〞になりません」と話すのは、和歌山県警察本部交通企画課の木野雅文警視。「死者数も例年になく少ないですが、39人もの尊い命が奪われているのは、悲しい事実です」。物損事故も含めると昨年は3万1325件、平均で1日約86件もの事故が県内のどこかで起こっていることに。「これは決して人ごとではない数字。誰にでも事故を起こしたり、巻き込まれたりする可能性があります」とも。
自転車は、交通事故の被害者にも加害者にもなり得る乗り物。だからこそ、一人一人のマナーの向上が大切。今回の改正で、講習の受講が義務付けられる対象となる違反は左記の通り。どれも以前からあったルールで罰則も定められていますが、みなさんご存知でしたか?「ルールを守ることは自分の身を守ること。そして、周囲の人のためでもあります。相手の立場で運転することを心がければ、事故はもっと減るはず」と木野警視。この機会に、交通社会に出たら自転車も〝車〞の一員として規則を守って運転しなければならない乗り物だと、改めて自覚をしましょう。子どもにもきちんと教えておくことが必要です。
解説 自転車運転者講習の対象となる“危険行為”とは
1. 信号無視
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
2. 通行禁止違反
「歩行者用道路」など、自転車の通行が禁止されている道路や場所を通行してはいけません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
3. 歩行者用道路における徐行違反
自転車の通行が認められている歩行者用道路を通行するとき、歩行者に注意を払わなければならず、徐行しないといけません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
4. 通行区分違反
自転車は“軽車両”です。歩道と車道が区別されている道路では“車道”を通るのが原則
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
自転車が車道を通る場合は、道路の左端に寄って通行しなければならないと決められています。車道の右側を通行したり、歩道を通行することは違反です
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
- 歩道通行可の標識がある歩道
- 13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転する自転車
- 車道で工事をしていたり、駐車車両がある場合など、車道を通るのが危険でやむを得ない場合
5. 路側帯通行時の歩行者の通行妨害
自転車が通行しても良い路側帯でも、歩行者の通行を妨げるような行為は禁止されています
2万円以下の罰金または科料
6. 遮断踏切立ち入り
閉じようとしていたり、閉じている遮断機、また警報機が鳴っている踏切に立ち入ってはいけません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
7. 交差点安全進行義務違反等
交差点では車両や横断歩行者に注意し、安全な速度と方法で進行しなければなりません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
8. 交差点優先車妨害等
信号のない交差点で、左から来る車両などの進路を妨げたり、右折時、前方からの直進・左折車両などを妨害してはいけません
5万円以下の罰金
交差道路が明らかに道幅が広いときや優先道路の場合、交差道路の車両などの通行を妨げてはいけません。また、交差点に入るときは徐行しなければいけません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
9. 環状交差点安全進行義務違反等
環状交差点(ロータリー)内の車両などの進行を妨害してはいけません。環状交差点に入るときは徐行しなければなりません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
10. 指定場所一時不停止等
一時停止の標識があるときは停止線(停止線が無い場合は交差点)の直前で一時停止をしなければいけません
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
11. 歩道通行時の通行方法違反
自転車が歩道を通行する場合は歩行者が優先です。自転車は歩道の中央から車道寄りを通行しなければならず、歩行者の通行を妨害しそうなときは一時停止をしたり自転車を降りて通らなければいけません
2万円以下の罰金または科料
12. ブレーキ不良自転車運転
ブレーキ装置がなかったり、ブレーキの性能が不良な自転車で走行することは違反です
5万円以下の罰金
13. 酒酔い運転
自転車でも飲酒運転をしてはいけません
5年以下の懲役または100万円以下の罰金
14. 安全運転義務違反
ハンドルやブレーキなどを確実に操作せず、また他人に危害を及ぼすような速度や方法で運転することは違反です
※傘さし運転や、スマホ・携帯で通話したり画面を操作しながら運転をして事故を起こした場合も、安全運転義務違反となる場合があります
3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金
そのほかにも、こんなルールがあります!
並進違反
自転車は1列で走行するのが原則。並んで運転することは大変な迷惑と危険につながります
2万円以下の罰金または科料
無灯火違反
夜間はライトを点灯しなければいけません。道路を照らすだけでなく、相手に自転車の存在を知らせる大切な明かりです
5万円以下の罰金