第6波に備える 和歌山新型コロナ検証
- 2021/12/9
- フロント特集
第5波の自粛が解かれ、クリスマスや年末年始を迎えます。しかし、感染が落ち着いているからといって油断は禁物。感染拡大につながらないような一人一人の行動が大切です。
ワクチン接種は発症・重症化予防になるが過信せずに!
第5波では、感染者全体の68%がワクチン未接種だった(12歳未満の接種対象外を加えると、79%)。第5波の大きな特徴は、ワクチン接種済みが多かった65歳以上の感染者が少なかったことで、全体の約9%にとどまっている。しかしその一方で、高齢者の感染者のうち、63%が2回接種済み。発症の予防にはワクチンの接種が有効だが、ワクチン接種をしていても感染することがあり、引き続き留意が必要。和歌山県のワクチン接種率は11月15日現在で75.8%(2回接種、12歳以上)。
発症した当日を含め 症状が出る前に感染する
発症当日に感染させている件数がもっとも多いが、平均値は半日前、最小値は発症4日前で、発症当日を含めて症状が出る前に感染させているケースが多いことが分かる。感染していれば、症状がなくても、誰かに感染させる可能性が非常に高い。
幅広い年代に認められる後遺症
半数以上に退院後も何らかの症状がある。すべての年代で後遺症があり、20~70代では半数以上。最も多かった症状は「倦怠感(全体の49.6%)」、次いで「嗅覚障害」「味覚障害」「頭痛」「呼吸困難感」「食欲不振」「睡眠障害」「脱毛」などと続く。
ワクチン未接種者に広がった第5波
高齢者では接種者が多く感染
感染拡大が落ち着いてきたところに新たなオミクロン変異株が国内で確認され、まだ油断ならない新型コロナウイルス。和歌山県の感染者数は、これまで5302人(11月30日現在)。最も感染が広がった第5波では2598人を数えました。
和歌山県はさまざまなコロナ対策を行ってきましたが、同時に県内の感染状況をまとめ、それぞれの事例を検証してきました。「第5波は、やはり和歌山でもデルタ株の影響が大きく、ワクチン接種も進んでいましたが、未接種者に感染が広がったことや、高齢者では接種者も多く感染し、高齢者施設や医療機関でクラスターとなる例がありました」と振り返るのは、和歌山県福祉保健部の野㞍孝子技監。「ワクチン接種は感染予防と重症化を防ぐには有効ですが、過信してはいけません」と、注意を促します。3回目のワクチン接種は、県内では今月中に医療従事者から始められるよう体制が整い、来年以降には高齢者から進む見込み。「接種済みの感染者の抗体を調べると、ワクチン接種で得られる抗体が少なくなっている人も見受けられました。引き続き接種を検討していかなければならないと思います」と、野㞍技監は話します。
感染拡大を防ぐため私たちにできること
引き続き和歌山方式で対策
感染者一人一人の行動歴を積極的に調査して
早期に発見、早期に入院・治療で抑え込み
新型コロナウイルスは、感染した人が発症する以前にさらに感染を広げることが大きな特徴(上記グラフ②)。「そのためにも、感染拡大を防ぐには、一人の感染者が出ると発症から2週間前にさかのぼり、いつ、どこで誰と会ったかなどの行動歴を調査して、感染源を探るとともに、誰に感染を広げたかを調べることが非常に重要(積極的疫学調査)。調査で分かった感染の可能性がある人をさらに検査して、感染が確認できた人には速やかに入院してもらって、治療できるよう体制を整えてきました」と、野㞍技監。爆発的な感染拡大が起こった大阪府に隣接していながらも、 “感染者の100%入院”を貫いてきた和歌山県の医療提供体制が破綻することなく第5波を乗り越えられたのは、こうした県内各保健所によるきめ細やかな積極的疫学調査によるところが大きかったと言います。
また、和歌山市も含めて県内すべての保健所で集められた感染者の情報と、医療機関に入院した感染者の状況も併せて、県がすべてを把握して一元化し、常に情報発信をしてきました。「医療機関や保健所、また県民の皆さんにも県内の状況をよく理解してもらって、どう行動すればよいかの判断材料としてもらうためです」と野㞍技監は説明。さらに、その都度、集まった情報を新たな視点で分析・検証し、その結果を県内の対策と啓発に役立て、注意喚起をしてきました。
「県民の皆さんには、体調が悪くなったときには早期に受診するよう呼びかけ、医療機関には早い段階の診断を求めて感染者の早期入院を促し、そして、保健所は疫学調査をしっかりと行い、積極的に検査もする。これらを繰り返し、徹底してきたことで、第5波を抑え込むことができたのだと思います」とも。
引き続き、オミクロンといった変異株の出現も気になります。「年末年始に向けて、人の流れも出てきます。変異株の状況も注視する必要があり、次の感染拡大の波に備えなければいけないと警戒しています。オミクロン株はワクチン効果が低いともいわれていますので、皆さんには、基本的な感染予防対策は引き続き行っていただきたい。そして例えば、県外に行く、県外から来た人と会うなど、普段と違う行動をするときには、いっそう十分な対策を取ってほしい」と、野㞍技監は呼びかけます。
今後の予防対策を左記にまとめました。感染しても、ワクチンを接種していれば軽症で済むと思っている人がいるかもしれません。しかし、これまで感染した半数以上の人に、退院後の後遺症があります(上記グラフ③)。そして、たとえ本人は軽症だったとしても、家族に高齢者や予防接種ができない12歳以下の子どもがいたら…。感染の拡大につながることになります。まずは自身が感染を予防し、もし体調が悪くなったら早期に受診すること。今後も油断せず、一人一人ができることを心がけましょう。
新型コロナウイルスに負けない!
新型コロナウイルス感染症「受診・相談窓口」
和歌山県コールセンター | 073(441)2170(24時間電話対応) ※土・日曜、祝日含む12/29〜1/3も対応 |
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和歌山市保健所 | 9:00〜17:45 073(488)5112 ※祝日を除く月〜金曜、12/29〜1/3は休み |
海南保健所 | 9:00〜17:45 073(482)0600 ※祝日を除く月〜金曜、12/29〜1/3は休み |
岩出保健所 | 9:00〜17:45 0736(61)0020 ※祝日を除く月〜金曜、12/29〜1/3は休み |