なんとなく、なんだか不調 「梅雨だる」じゃない?

近畿地方は今年、5月16日に観測史上で最も早い梅雨入りが発表され、雨が降ると大雨、晴れると厳しい暑さになり、湿度と気温の上昇に“体がついていかない”という人も多いのでは。梅雨時期の不調「梅雨だる」について原因を探ります。

約6割が「梅雨だる」の自覚症状あり
気象が影響、自律神経の乱れが原因?

医師や専門家、企業でつくる「ウーマンウェルネス研究会」が、2018年に20~50代の男女810人を対象に実施した「梅雨時期の心身の不調に関する意識調査」によると、一年のうち天候でストレスを感じる季節として最も多かったのが「梅雨(6~7月)」。さらに、約6割の人が梅雨時期になると、「だるい」「憂鬱(ゆううつ)な気分になる」「身体が重い」など、何かしらの不調を実感しているとのこと(グラフ参照)。

皆さんはいかがでしょうか? 「雨が降る前は頭痛がする」「天気が悪いと古傷がうずく」といったことは昔からいわれていますよね。昨今、季節や天気の変化で現れる心身の不調は「気象病」と呼ばれ、気温・湿度・気圧の変化により自律神経が乱れることで起こると考えられています。

今回は、梅雨時期の不調「梅雨だる」に的を絞って、和歌山県立医科大学医学部生理学第二講座・中田正範教授に原因や改善方法を聞きました。

生理学者・中田正範教授が解説
気象と自律神経の関連性

外部環境に体が適応するために働く
交感神経、副交感神経が過敏に

「梅雨時期に心身の不調が出やすいのは、気のせいでも、 怠けでもありません。原因を説明する前に、まずは自律神経のことを少しお話しましょうか」と中田教授。神経には、全身に指令を送る中枢神経と、体の隅々まで情報を伝える末梢(まっしょう)神経があり、末梢神経は痛みを感じたり、手足を動かす体性神経と、内臓、血管などの働きをコントロールする自律神経とがあります。「脈が早くなったり、汗をかいたり…、無意識のうちに働いてくれているのが自律神経」と。さらに、この自律神経には、昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります(下記参照)。

そう、よく耳にする「自律神経が乱れる」というのは、交感神経と副交感神経のバランスが崩れるということ。では、なぜ梅雨時期になるとバランスが崩れやすいのか。

和歌山県立医科大学医学部
生理学第二講座 中田正範教授

一つの要因は気温と湿度。雨が降れば湿度が上昇、晴れれば気温が上昇。おまけに朝夕の気温差も大きいですよね。もう一つは気圧。梅雨時は低気圧が発達しやすく、体が膨張しがち。「自律神経はこうした外部環境に敏感に反応して、体を正常に保とうとします。しかし、交感神経が過剰に働くと、血圧が上がったり、頭痛がしたり…。逆に副交感神経が刺激されると、眠くなったり、だるさを感じたりします。また、気圧の変化で骨や気管などが圧迫されることによって、リウマチや関節痛、ぜんそくなどの症状が出ることもあります」と中田教授は説明します。

他にも、スッキリしない天候は、日照時間も短くダラダラモードに。「不規則な生活も『自律神経の乱れ』の要因。精神的なストレス、ホルモンバランス、老化(加齢による機能の衰え)なども影響します」とも。

ただ、中田教授は、「梅雨は日本人の体にとってすごく大事な役割もある」と強調します。夏暑く、冬寒い日本で暮らす私たちには、「暑熱馴化(じゅんか)」が必要不可欠。暑いと感じたら汗を出す・皮膚の血管を広げるなど、素早く体温を下げられる体づくりを今の時期にしているのです。暑熱馴化ができなければ、夏バテにつながる可能性もあるので、「梅雨だる」を自覚している人は、この機会に自律神経のバランスを整える生活習慣を心掛けましょう。

脱! 梅雨だる 改善・予防策

自律神経を乱さない=規則正しい生活。「梅雨だる」を自覚している人は、まずは生活習慣を見直しましょう。

睡眠をしっかりとる

覚醒時に働くのが交感神経、休息時に作用するのが副交感神経。睡眠不足が続くと、交感神経が優位になり、怒りっぽくなったり、注意散漫になったり、判断力や記憶力にも影響します。

規則正しい食事

特に朝食は大事。血糖値と脂肪酸の研究で、朝食を抜いて昼食を食べると血糖値が上がりやすいという結果が出ています。血糖値の急激な上昇・下降は自律神経が乱れる要因に。

目覚めは太陽の光、夜は間接照明

1日は24時間ですが、体内リズムは25時間周期。朝、太陽の光を浴びることで24時間に調整されます。一方、就寝前に強い光を浴びると、睡眠の質を高める「メラトニン」の分泌が抑制されてしまいます。

お風呂の温度はぬるめに

昼間の活動で上昇した体温が、夜になって徐々に下がってくると眠くなります。熱いお湯は、就寝前に体温を上げてしまうので、ぬるめのお湯で。シャワーより入浴で心身をリラックス。

適度な運動

朝の運動がおすすめ。ランニングやウオーキングなどを10分くらいすると脳が活性化され、仕事、勉強の集中力が高まります。日常的に運動することで、暑熱馴化にもより早く順応できます。

 

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