7月からレジ袋の有料化がスタート マイバッグ持参で環境保護を
- 2020/6/11
- フロント特集
今年7月1日から、プラスチック製の使い捨てレジ袋が有料化されます。買ったものを入れるだけでなく、さまざまな使い道があるレジ袋ですが、その背景には世界的な課題となっている環境問題が…。有料化を機に、環境について考え、できることから始めてみませんか。
マイバッグ持参が当たり前の社会に
私たちの意識と行動を変える一歩
スーパーやコンビニエンスストアなどで買い物をして、今まで当たり前のようにもらっていたプラスチック製のレジ袋が、今年7月1日(水)から全国一律で有料化されます。
近頃、マイバッグ持参の人が増えてきたとはいえ、「有効活用しているのに…」「今度からお金を出して買うの?」と、抵抗や戸惑いを感じる人もいるかもしれません。
プラスチックは、「軽い」「丈夫」「耐久性がある」「安価」といったメリットがたくさんある万能素材。レジ袋以外にも、ペットボトル、食品の包装、使い捨ての食器など、さまざまな製品に加工され、私たちの生活には欠かせないものとなっています。
しかし、人の手が加わらなければ、自然に分解されることはほとんどありません。便利さの裏側で、不法投棄など、適切に処分されなかったプラスチックごみが海に流れ込み、環境を汚染。生態系への影響が心配されるなど、地球規模での問題が起こっています。
このまま何もしないでいると、2050年には海のプラスチックごみが魚の重量を上回るといった予測もされており、プラスチックの削減に関する規制や対策が世界中で広がっています。日本も昨年5月、「プラスチック資源循環戦略」を策定。使い捨てプラスチックの排出量を2030年までに25%削減、さらに、廃家電や自動車部品を含む全てのプラスチックごみを35年までに100%有効利用するといった目標を掲げています。
私たちが毎日の生活の中でできること。有料化をきっかけに、マイバッグを持つことや、必要外の利用を減らすことを習慣づけてみては。
有料化の背景、対象となるレジ袋、県の取り組みなどについて、和歌山県循環型社会推進課で話を聞きました。
プラごみから考える「環境問題」
魚よりプラごみの重量が上回る?
海の生き物などへの被害が問題に
レジ袋やペットボトル、使い捨ての容器やストローなど、私たちの生活に欠かせないプラスチック製品。でも、自然界ではほとんど分解されないため、屋外で不法に投棄されると、海に流れ出すなどして環境汚染の原因に。特に今、劣化して細かく砕かれた5ミリ以下の「マイクロプラスチック」が、海で暮らす魚や海鳥、ウミガメ、アザラシなどの海洋ほ乳生物などの体内から大量に見つかっており、世界中で大きな問題となっています。
和歌山県循環型社会推進課の谷上直紀さんは、「世界では年間約800万トン、そのうち日本からは2~6万トンのプラスチックがごみとして海に流れ込んでいると推計されています。このままだと2050年には、海にいる全ての魚の重量より、プラスチックの重量が上回ってしまうのではないかと予測され、世界中が対策に取り組んでいます」と説明します。
もちろん、ほとんどのプラスチックは適正に処理されています。プラスチック循環利用協会の報告(2018年)によると、国内で出る1年間の廃プラ総排出量は891万トンで、うち750万トン(84%)。が有効利用されています。しかし、有効利用の約3分の2は、焼却したときのエネルギーを発電などに使う「サーマルリサイクル」が占めています。利点がある一方、焼却時の二酸化炭素の発生を考えると、地球温暖化といった問題も見えてきます。そういったことからも、削減への取り組みが必要だと分かりますよね。
日本は昨年6月、G20サミットの議長国として、「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまでする」という国際間での合意を取りまとめました。そして国は同12月、プラスチック資源の削減や有効利用を目的とした「容器包装リサイクル法」の省令を改正。レジ袋有料化の義務付けを盛り込み、今年7月1日から施行します。
経済産業省の調査(下グラフ)では、プラスチック製の袋の使用量はやや横ばい。これまでも企業や地方自治体が自主的にプラスチック製レジ袋の有料化に取り組んできましたが、思うように進まない状況が続いていました。とはいえ、“レジ袋を削減したところで、プラスチックごみ全体から見ると、貢献度が小さいのでは?” と思う人がいるかもしれません。
谷上さんは「国内で出る、年間900万トン近いプラスチックごみのうち、レジ袋はほんの数%にすぎません。レジ袋有料化は、外出するときにマイバッグを携帯するといった、日頃のライフスタイルを見直すきっかけにしてもらうのが目的です」と話します。
私たち一人一人の意識と行動が問われています。6月は環境月間。まずはできることから少しずつ始めてみませんか。
県がごみの不法投棄をストップ
ごみの散乱防止条例4月から施行
ごみの散乱を防ごうと、和歌山県は「和歌山県ごみの散乱防止に関する条例」を制定し、今年4月1日から施行。半年間の周知期間を設け、10月1日(木)から、本格的にスタートします。
禁止規定には「何人(なんびと)も、ごみをみだりに捨てることを禁じます」と記されており、年齢に関係なく適用。廃プラスチックやペットボトル、空き缶・瓶、容器・包装材、たばこの吸い殻、紙・木・金属くずなど、ごみの散乱を無くすことで、環境保全と廃棄物の適正処分、再利用による減量化に取り組みます。
条例では、県知事から委任を受けた環境監視員が、屋外でごみを不法投棄した人に対し、その場でごみを回収するように命令します。従わなかった場合は、5万円以下の過料が徴収されます(同じような罰則規定を設けている市町村は適用外)。
同課の辻内崇志さんは「将来にわたって自然環境を守っていくためにも、ごみの散乱を“しない”“させない”“許さない”の土壌づくりにご理解、ご協力ください」と呼び掛けています。
環境保全公社がエコグッズ作成
県内の団体活動に無料で配布
6月の環境月間に合わせ、和歌山環境保全公社は、県内で環境保全活動を行う団体(県、市町村、NPOなど)に、和歌山県のマスコットキャラクター・きいちゃんのイラストが描かれたオリジナルの「レジバッグ(保冷機能付き)」と「食品ロス対策用マグネットシート」を無料で配布しています。
配布条件は、県民を対象に行うおおむね50人以上の環境保全や環境学習などの活動。希望団体は、活動実施の約2週間前までに、同公社のホームページから申請書をダウンロードし、申し込みを。詳細は同公社に問い合わせてください。
連絡先 | 073(431)2322 |
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社名 | 和歌山環境保全公社 |
HP | http://www.wa-hozenkousya.jp/ |
特別!「レジバッグ」&「マグネットシート」読者プレゼント(10人)
抽選で『リビング和歌山』の読者10人に、和歌山環境保全公社から「レジバッグ(保冷機能付き)」と「食品ロス対策用マグネットシート」をプレゼント。〒住所、氏名、年齢、電話番号を記入して、はがき、またはメールで応募を。当選発表は7月中旬。当選者にだけ、はがきで通知します。個人情報ははがきの送付にだけ利用します。
宛先 | 〒640-8557(住所不要) 和歌山リビング新聞社「エコグッズプレゼント」係まで。 |
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締切 | 6月26日(金)必着 |
備考 | メールは件名に「エコグッズプレゼント」と記入してliving@waila.or.jpまで。 |