日本赤十字社和歌山医療センター110周年 進化する地域の医療拠点

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「人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性」という世界共通の“赤十字基本7原則”に基づき、地域医療、災害救護に貢献してきた「日本赤十字社和歌山医療センター」(和歌山市小松原通)。今年で創立110周年を迎え、ますます進化する同センターの“今”に迫ります。

36診療科部、47専門外来の基幹病院
救命救急、国際医療救援、災害救護も

夏目漱石が俳句雑誌『ホトトギス』に「吾輩は猫である」の連載を始めた明治38(1905)年、「日本赤十字社和歌山医療センター」は、「日本赤十字社和歌山支部病院」の名で和歌山市七番丁に開設され、同43(1910)年に現在地で診療を開始しました。110年という歴史は、全国に92施設ある赤十字病院の中でも5番目に古く、また、和歌山県下の総合病院としては最古で、これまで多くの命を救ってきました。

1世紀を超える年月の中で少しずつ診療科を増やし、現在は36診療科部、47専門外来を設置。手術支援ロボット「ダヴィンチ」や放射線治療装置「リニアック」、陣痛から分娩、産後の回復まで同じ部屋で過ごせる「LDR」など、最先端の医療機器、設備を整え、1日平均約2100人の外来患者と、約650人の入院患者の診察、治療にあたっています。

一方で、全国に35施設しかない高度救命救急センターとして年間約3万人の救急患者を受け入れている他、国際医療救援拠点病院、災害拠点病院として、国内外の被災地や紛争地に医師や看護師など多くの職員を派遣し、救援救護活動を行っています。

高度な医療と快適な療養環境を

少子高齢化で変化する医療環境
役割が明確化され、地域連携を推進

110年という長い年月発展を続けてきた日本赤十字社和歌山医療センター。少子高齢化が加速し、人口減少も叫ばれる中、同センターの役割、今後の展望について百井亨院長に聞きました。

―赤十字病院としてだけでなく、和歌山でも歴史がある病院ですね。

町の診療所はあったと思いますが、恐らく戦前に総合病院として診療を行っていたのは当センターだけです。開院当初も、戦後の焼け野原の中で診療を再開したときも、常に地域の人と共にあったと思います。

―医療の〝役割分担〞が進められていますが。

ここに来て、日本の医療は大きく変化しています。医療機能の現状を見据えて、今後の方向性を選択する「病床機能報告制度」が始まり、当センターのように高度で専門的な医療を行う「急性期」病院と、「回復期」「慢性期」を担う病院が区分けされ、「在宅医療」「介護」を含め、より一層地域で連携していかなければいけません。

―和歌山という土地柄、災害時の医療拠点としても期待されます。

自衛隊のヘリコプターが2機駐機できる屋上ヘリポートを持つ病院は西日本では当センターだけです。南海トラフ地震が発生した場合、海辺の道路は遮断され、空路が活用されることになるでしょう。いざというときにきちんと機能するように訓練も行っています。赤十字の使命として今後も国際医療救援、災害救護を充実させると同時に、急性期病院としての役割を果たし、地域医療に貢献、前進させていく所存です。

110周年の平成27年に
導入された設備・機器、開設された外来

胃内視鏡検査(胃カメラ)枠を拡大

内視鏡検査実績は、全国でトップクラスの年間約1万9000件。最新のフルハイビジョン機器を導入していて、人間ドックの胃カメラ実施枠を1日25枠から30枠に拡大。

内視鏡検査実績は、全国でトップクラスの年間約1万9000件。最新のフルハイビジョン機器を導入していて、人間ドックの胃カメラ実施枠を1日25枠から30枠に拡大。

不整脈アブレーション専用のカテーテル室

和歌山の医療施設にはまだまだ少ない、不整脈治療「カテーテルアブレーション」の専門医が常勤。最新鋭の機器を備えた専用のカテーテル室を新設。

和歌山の医療施設にはまだまだ少ない、不整脈治療「カテーテルアブレーション」の専門医が常勤。最新鋭の機器を備えた専用のカテーテル室を新設。

専門外来を続々開設

「妊娠と薬外来」「周産期遺伝カウンセリング外来」「造血幹細胞移植後フォローアップ外来」を新たに開設。専門医に直接相談でき、詳しく説明してくれます。

「妊娠と薬外来」「周産期遺伝カウンセリング外来」「造血幹細胞移植後フォローアップ外来」を新たに開設。専門医に直接相談でき、詳しく説明してくれます。

院外処方箋に検査値を記載

院外薬局で薬剤の効果や副作用の確認ができるように、院外処方箋に13項目の検査値を表示(処方箋が出された日より前の3ヵ月間に検査を受けていた場合)。

院外薬局で薬剤の効果や副作用の確認ができるように、院外処方箋に13項目の検査値を表示(処方箋が出された日より前の3ヵ月間に検査を受けていた場合)。

皇室とゆかりがある日本赤十字社

女性皇族が和歌山医療センターを視察

日本赤十字社の名誉総裁は皇后さま、名誉副総裁は皇太子ご夫妻、秋篠宮妃紀子さまなど多くの皇族が就かれています。

そんな由縁から、仁親王妃信子さまをお迎えして、日本赤十字社和歌山県支部の120周年、和歌山医療センターの110周年、和歌山県赤十字血液センターの50周年を記念した「和歌山県赤十字大会」を、11月5日に和歌山市民会館で開催。大会に先立ち、信子さまは和歌山医療センターを訪れ、院内を視察されました。また、過去には、紀子さま(平成12年11月)、高円宮妃久子さま(平成17年11月)も視察で来院されています。

和歌山医療センターの特色、知られざる取り組み

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働く医師、看護師を支える
あすなろ保育園

病院は、24時間365日休みがないため、医師、看護師など約1650人が交替で働いています。院内にある「あすなろ保育園」は、働くママ、パパの心強い味方。昭和50年に開園され、夜間、土・日・祝日、年末年始も子どもを預かっています。

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国際的な医療救援の実績
28ヵ国に延べ115人派遣

昭和60年にエチオピアへ助産師を派遣したのを皮切りに、紛争が続いているパキスタンや大地震が発生したハイチ、ネパールなどに医師、看護師、薬剤師らを派遣。派遣要員、派遣候補者のための語学、医療研修も熱心に行っています。

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地域住民も利用可能
院内サービスの充実

院内には、2000㎡もある庭園をはじめ、焼きたてパンを販売する売店、コーヒーショップ、理・美容室、図書室まで備え、「快適に療養できる環境」を目指しています。冬の風物詩となっているイルミネーションは、来年の1月末日まで点灯予定。

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地域医療の向上を目指した
診療連携ネットワーク

地域医療の充実、発展のため、「日本赤十字社和歌山医療センター医療連携ネットワーク」を平成12年に構築。地域の診療所の医師など、現在632人が参加しています。専門医とかかりつけ医が連携することで、最適な治療をスムーズに行えます。

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