和歌山食物語、生産者を訪ねて 龍神生しいたけ
- 2016/10/13
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今週号は“GoodLife(上質な暮らし)”を提案。今回のテーマは「食」です。10月15日は日本特用林産振興会が定める“きのこの日”。飲食店オーナーや美食家らが注目する「龍神生しいたけ」の魅力に迫ります。
原木栽培に劣らない
〝生しいたけ〞を菌床栽培で
〝香りマツタケ、味シメジ…〞、キノコのおいしい季節がやってきました。キノコ類は、ビタミン、食物繊維が豊富でボリュームがあるのに低カロリー。味・栄養価の両面で〝食欲の秋〞に重宝される食材ですね。中でもシイタケは、日本で最も普及している栽培キノコの一種で、全国の青果物卸売市場の卸売価額は454億円と全栽培キノコの中でトップです。
ところで皆さん、シイタケの栽培方法はご存じ?原木に菌を植え込む原木栽培と、オガ粉に米ぬかなどの栄養源を混ぜた「菌床(きんしょう)」に種菌を繁殖させる菌床栽培があり、一般的には、原木シイタケの方が味・香りが強いといわれています。しかしながら、原木シイタケの年間生産量は7436トン。一方、菌床シイタケは6万73トン(平成26年特用林産物生産統計調査)と、市場に出回っているほとんどが菌床シイタケです。
森林が総面積の約90%を占める山あいの郷・田辺市龍神村にある「龍神マッシュ」では、その菌床栽培で、原木栽培に勝るとも劣らない肉厚でうま味をギュッと凝縮した「龍神生しいたけ」を栽培しています。村の活性化にも一役買っている生産現場を訪ねました。
“龍神の恵み”をよりおいしく
龍神村の風土、清流で育つ
“幻のしいたけ”を追い求めて
「自然豊かで清流があり、くぼ地になったこの地は、昼夜の寒暖の差が大きくシイタケ栽培に適しているんです。昔は原木栽培が盛んでしたが、近年、サルによる獣害被害に悩まされ、安定した生産が可能な菌床栽培を始めました」と話すのは、「龍神マッシュ」の代表・伊藤委代子さん。
少子高齢化が進み、龍神村の産業が衰退していく中で、若いママたちの雇用、村の活性化を視野に入れて平成20年、自宅の田んぼにビニールハウスを建て、菌床シイタケの栽培を開始。「当時の出荷量は年間約8トン。廃校になった下山路中学校の跡地に平成23年に移り、現在は13棟のハウスで年間約52トンを生産しています。今は20人で菌床づくりから出荷までを手掛けています」と言います。
しかし、生産量が増え、また、多くの人が携わるようになったことで、「私が理想とする“幻のしいたけ”には出合えなくなりました」とも打ち明けます。
「菌床は子どもと同じ。こちらがイライラすると反抗するし、優しくするとつけあがってくるし…(笑)。手塩にかけて育てた“わが子”を世に送り出し、皆さんに『ありがとう』『おいしい』と喜んでもらうことが何よりうれしいのですが、“今の子”たちの“でき”に私は納得していません。かつて作れていた“幻のしいたけ”をよみがえらせ、安定して供給することが私の夢」と。その“幻のしいたけ”とは、「傘は10センチ程度で軸はまっすぐ伸びて、傘の裏の縁が切れていないもの」だそう。
思うように生えないのがおもしろさ
一方で、安定供給は永遠の課題
菌床シイタケは、オガ粉に栄養剤を混合させたものを固め、殺菌後に菌を植えて、成長に合わせながら水を与えて培養させます。菌が熟成して“芽”が出てくるのが約半年後。その後、成長具合に合わせて、約6カ月の間に数回収穫できます。
「不思議なものでね、同じ菌を使っても、違う場所だとペラペラのシイタケになるんですよね。味はそう変わりませんけど…。同じハウスの中でも場所によって成長度合いは異なります。なかなか思うように生えてきてくれないのが、シイタケ栽培のおもしろさかもしれません。計画的な生産が一切できないので、お客さまには迷惑をかけてしまいますが…」。傘が大きくて、肉厚でうま味豊かな「龍神生しいたけ」ができるのは、「龍神村の風土、水が大きく影響している」と伊藤さんは分析しています。
「龍神マッシュ」では、シイタケの大きさで「特A」「A」「B」「C」「D」と分類し、県内外の百貨店やスーパー、市場などに出荷。生産工場でも100グラム100円から販売しています(和歌山市内で購入できる場所は下記参照)。秋の味覚の王様・マツタケに手は出なくとも、今秋は、“香りマツタケ、味シイタケ”で「龍神生しいたけ」を味わいましょう!!
問い合わせ | 龍神マッシュ |
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住所 | 田辺市龍神村甲斐ノ川500 |
電話 | 0739(77)0052 |
営業時間 | 午前8時~午後5時 |
定休日 | 日曜、祝日(個数限定で販売あり) |
駐車場 | あり |
ホームページ | http://bso10235.bsj.jp/ |
“野菜のプロ”が教える 龍神生しいたけのおいしい食べ方
ヘルシーなしゃぶしゃぶ
《材料》(2人分)
●龍神生しいたけ・・・・・2本●だし(鶏がら中華などお好みで)・・・・・・500cc●レタス、ニンジン、水菜など(お好みで)・・・・適量●ポン酢・・・・・適量
- シイタケは石づき、軸を取り、崩れないようにやや厚めに切る
- レタスは食べやすい大きさに、ニンジンは火が通りやすいように薄く切り、水菜は葉と茎の部分に分ける
- 鍋にだしを入れて沸騰させる
- ③に野菜とシイタケを入れ、シイタケが柔らかくなったら食べごろ
- ポン酢をつけていただきます
軸までおいしいリゾット
《材料》(2人分)
●龍神生しいたけ・・・・2本●米・・・・・・・・1合●だし(鶏がらなどお好みで、しゃぶしゃぶの残りだしを使うのがおすすめ)・・・・・300cc●エシャロット(玉ネギでも可)・・・・・1/4個●オリーブオイル・・・・・適量●粉チーズ・・・・・大さじ2~3杯●バター・・・・・10g●ブラックペッパー・・・少々
- エシャロットはミジン切り、シイタケは石づきをとり、食べやすい大きさに切る。軸も捨てずに1cm幅にスライス
- フライパンにオリーブオイルをたっぷり入れ、エシャロット、シイタケの軸を入れてから火をつけ、軽く炒める
- シイタケの傘を投入し、しんなりしてきたら米(洗っていないもの)を入れ、オリーブオイルがなじむように混ぜる
- 温かいしゃぶしゃぶの残りだしをお玉1杯分入れ、グツグツするまで混ぜる(好みの固さになるまで繰り返す。やや固めに仕上げるのがポイント)
- チーズ、バターを入れて混ぜ、バターが溶けたら、ブラックペッパーを振りかけて完成
シンプルに焼きしいたけ
《材料》(2人分)
●龍神生しいたけ・・・・2本●塩、レモン・・・・・・・適量
- シイタケは石づきをとり、軸の先端に切り目を入れて4等分に手で裂く(マツタケを裂く要領で。手で裂いたほうが水分が出にくくなるのだとか…)
- 網に乗せて中火で焼く
- 焼き色がつき、水分が出てきたら食べどき
- お好みで塩やレモンを。ホイル焼きにしても美味
龍神生しいたけを使った料理・加工品&買えるお店
問い合わせ | piatto(ピアット)城下町の八百屋さん |
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住所 | 和歌山市板屋町3 1階 |
電話 | 073(488)6340 |
営業時間 | 午前11時~午後4時 |
定休日 | 月・金曜営業 |
問い合わせ | ワイン食堂Enotolia(エノトリア) |
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住所 | 和歌山市十番丁66メゾン十番丁 |
電話 | 073(436)3232 |
営業時間 | 午前11時半~午後2時、午後5時半~11時(OS10時) |
定休日 | 日曜(土曜のランチは休み) |
問い合わせ | 道の駅・田辺市龍神ごまさん スカイタワー・龍神は〜と |
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住所 | 田辺市龍神村龍神1020-6 |
電話 | 0739(79)0622 |
営業時間 | 午前9時半~午後5時(土・日曜、祝日は9時から) |
定休日 | 11月末日まで無休、12月~3月冬期休業 |
駐車場 | あり |
問い合わせ | つぐみ食堂 |
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住所 | 田辺市龍神村福井511 |
電話 | 0739(77)0380 |
営業時間 | 午前9時~午後5時(定食は午前11時~午後3時、軽食は4時半まで提供) |
定休日 | 無休 |
駐車場 | あり |
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